研究テーマを知る

野々口研究室では、カーボンナノチューブ(CNT)を中心とするナノカーボン材料の潜在的な機能や新現象を引き出す手法と、その技術開発を行なっています。

カーボンナノチューブは、ウイルスよりも小さく数nmほどの直径をもつチューブ状の炭素物質です。電気を通しやすく、化学的にも物理的にも非常に安定しているという特徴があります。

より革新的なエネルギー材料の開拓するその世界は、有機・無機・物理化学を総動員するまるで未来の錬金術。あらゆる学術領域との協業を視野に、さらには基礎研究から社会実装まで、縦横無尽に新時代のサイエンスを探求します。


眠ったエネルギーを取り出す

膨大な情報収集が必要とされる中、センサーなど小さなデバイスを駆動のための効率的な電力供給のニーズが高まっています。そこで期待されたのが環境発電。その中でも、捨てられていた熱エネルギーを有効活用する方法が『温度差発電』です。

その温度差発電材料にカーボンナノチューブを利用することで、軽量でフレキシブル、かつ高性能な『柔らかい発電素子』を開発しました。この技術は多くの反響を呼び、ビルやスポーツウェアなど、さまざまな場所での活用が期待されています。

最先端の墨をデザインする

カーボンナノチューブは軽量でありながらも金属と同等の強度を持ち、さらに熱に強く、電気を通すという優れた性質を持ち合わせています。金属や樹脂など様々な素材とミックスすることによって、機能性に優れた新しい素材を産み出したり、既存の素材の機能強化を図ることが可能となります。

カーボンナノチューブ実用化の大きな鍵は、「いかにしてCNTを溶かすか」という点にあり、世界中の研究者が取り組んできた大きなテーマでもあります。CNTを溶かすことができて初めて、実社会で使われている金属や樹脂などあらゆる素材とミックスし、機能性に優れた新しい素材を生み出すことができるからです。当研究室はこの『溶かす』ことに成功し、さらに溶かす仕組みや法則の解明を行なっています。

様々な有機溶媒や樹脂と混和可能な分散剤を見出し、その支配因子を実験とマテリアルズ・インフォマティクスの両輪で調べています。

産学連携・共同研究

企業との情報交換や技術開発にも積極的です。これまでに展示会出展、プレス発表、上市新商品の市場投入などを共同で行なっています。

カーボンナノチューブはまだ多くのポテンシャルを秘めています。実社会との関わりの中で、さらに安全で高性能、さらにサスティナブルな素材の開発を推進し、物理空間とサイバー空間を行き来する超スマート社会(Society5.0)の実現をはじめ、次世代の社会基盤づくりへ貢献します。

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